オーケストラピット
オーケストラピットとは、客席の前側の一部が可動式になっていて、上げたり下げたりできるようになっている構造のことです。(可動式ではなく、客席床のフタをはずすとオーケストラピットが現れる小屋もある。)
その用途は、主にオペラやバレエなどで下げて、オーケストラが演奏するための場所として使用します。
また、可動式の小屋によっては下げるだけではなく、舞台面まで上げてエプロンステージとして使うことができる小屋もあります。
通常オーケストラピットは客席の一部なので、使用するときはその部分のイスを動かせるようになっています。動かしたイスの収納方法は、小屋によってかなり違います。右の写真はイスを収納した後の写真ですが、この場合はオーケストラピットを下げきって客席の下の倉庫(右側の白い部分。ドアは閉まっている。)に収納しています。
このとき、オーケストラピットを下げきると、左の写真のように危険な開口部が現れる場合があります。ここに転落したり、オーケストラピットを上げるときに挟まれたりすると、命に関わる事故になる可能性があります。オーケストラピットはその場所柄、操作盤の位置からはその全体が把握し切れませんので、我々はオーケストラピットを動かす際には常に2〜3人の確認要員を配置し、操作盤を操作する者と確認要員との間で声を掛け合いつつ運転します。
が、利用者の方たちの中にはオーケストラピットが動くのがおもしろいらしく、はしゃいでしまう方も見受けられることもありますが、確認の声が聞き取りづらくなってしまうばかりではなく、非常に危険ですので、オーケストラピットの上に乗っているときは舞台係員の指示に従って安全に行動してください。
また、オーケストラピットが下がっているときには、舞台上や客席にいる方々も転落しないように注意する必要があります。
同じような理由から、本番中にオーケストラピットを動かすことも基本的にはできません。お客さんが客席に居る状態では安全の確保ができないからです。
上の写真は、オーケストラピットを上げきってエプロンステージとして使ったときの写真なので、客席側の転落防止フェンスを設置していませんが、オペラやバレエでオーケストラを入れるときは客席面より下げて使うため、転落防止フェンスを設置します。
上の写真の客席部分の下手側に光っている四角い物が見えると思いますが、これがフェンスの支柱を差し込むための穴のフタです。よく見ると、上手までつながっているのが分かると思います。フェンスの形は小屋によって様々です。
オーケストラピットを上げ下げするマシンの構造は色々ありますが、写真の小屋の場合には4ヶ所(写真の縦長の開口部)のラック&ピニオンで行っています。こんな大きな物をたった4ヶ所で・・・と不安に思う方も居られると思いますが、その辺はきちんと計算して造られていますので、ご安心ください。
操作盤 吊り物装置 道具類 ひな段 「舞台」のトップへ戻る