ここでは、音の入り口である「マイクロホン（以後マイクと言う）」について述べます。マイクとは、音波の振動をマイクカプセル内の振動板（ダイヤフラム）で受け、その機械的運動を電気信号に変えるものです。この電気信号に変える方法の違いでマイクの種類を分けることができます。
マイクには大別して「ダイナミック」と「コンデンサー」とがあります。この他にも「ベロシティー（リボン）」や「カーボン」「クリスタル」などがありますが、あまり一般的ではないので、ここではダイナミックとコンデンサーについて説明することにします。
ダイナミックマイクは、振動板につけられたコイルが永久磁石の中で動くことで発電することにより、音を電気信号に変えています。
一方のコンデンサーマイクは、導電性の振動板と、対する固定電極の間に外部から与えた電気（成極電圧）を蓄え、振動板と固定電極間の距離の変化による蓄電量の変化を取り出して、音を電気信号に変えています。またこの変化は極めて微少なため、信号を増幅する「プリアンプ」が内蔵されているものが大半です。
この様に、ダイナミックマイクは自分で「発電」するのに対し、コンデンサーマイクは外部から電気を与えなくてはなりません。その電源として電池を内蔵しているものや、外部から電源を供給できる「ファンタム電源」とよばれるシステムに対応したものがあります。
また最初から電気を蓄えてある「エレクトレットコンデンサーマイク」（ラジカセやパソコンのマイク等はこれが多い）と言うものもあります。
ファンタム電源とは、マイクケーブルを通じて直流＋４８Ｖ（電圧はいろいろあるが日本では４８Ｖが一般的）の電圧を与え、それをコンデンサーマイクの電源とするものです。そのためファンタム電源を使用したマイクのケーブルを抜いたりすると「バツン」と言うすごい音がします。マイク使用中はマイクケーブルを抜くのは言語道断なのですが、特にコンデンサーマイクに関しては注意が必要です。場合によっては、スピーカーが破損することもあります。絶対にやめましょう。
それぞれのマイクの特徴は下の表をご覧ください。
マイクを使用する上での注意点は、前述の「ケーブルを抜かない」ことのほかに、「たたいたり吹いたりしない」と言うことがあります。よく、マイクが生きているかどうかを確かめようとして、手でたたいたり吹いたりする光景が見られますが、これはマイク自体の故障の原因になるばかりでなく、ファンタム電源使用時と同様にスピーカーを破損することもあります。マイクチェックをするときは、必ず「声」で行いましょう。我々プロは、回線チェックなどの時にマイクのウインドスクリーンをガリガリこすることがありますが、これはあまりまねをしないでください。我々はマイクの構造をわかった上で行っています。マイクの機種によっては故障の原因になりうることもあります。
また、マイクケーブルを持って、振り回したりしないでください。
マイクを置くときは、落ちやすい場所や舞台に直に置くのはさけましょう。
プロ用のマイクには一般的にＯＮ／ＯＦＦスイッチはありません。これにはいろいろ理由があるのですが、スイッチが必要だと思われる場合以外は、我々はスイッチ付きマイクを用意しません。カラオケ用のマイクのようにスイッチを探してぐるぐる回したり、スイッチと間違えてコネクターを抜いてしまわないようにしましょう。
打ち合わせで、「マイクを〇本用意してください。」などと言われますが、「何に」使うマイクなのかをはっきりお伝えいただけるとありがたいです。前述のように、マイクには用途別にいろいろな種類があります。ヴォーカルに使うのか、楽器に使うのか、またその楽器の種類は何なのか・・が分からないと、マイクの機種が決まらないだけでなく、マイクスタンドの種類も決まりません。
できれば舞台図上に、マイクを向けたい対象物の位置と名称を書き込んでもらうとベターです。
また、マイクには「指向性」というものがあります。拡声用に使うマイクは、ほとんどの場合「単一指向性」と呼ばれる指向性のものです。これは「マイクの指向正面で収音する」マイクなので、指向正面をはずれると著しく音質や音量が変化します。マイクの機種によって指向正面は違うので、舞台係員にマイクを向けられたら、なるべく動かさないようにしましょう。
指向性と並んで音質変化に影響が多大なのが、音源からマイクまでの「距離」です。単一指向性のマイクの場合、一般的に音源からマイクまでの距離が離れれば離れるほど、低音成分が少なく（音が”やせる”という）なります。あまりマイクに近づきすぎるのもよくありませんが、離れすぎるのも困ってしまいます。マイクの種類や音源によって多少違いますが、肉声の場合はマイクから５〜１０ｃｍ離れるのが適当です。
ちなみにマイクに近づくことを「オンマイク」、マイクから離れることを「オフマイク」といいます。
ヴォーカルに多いのですが、マイクの頭を手でくるむようにして使う方がいます。こうすると一見音量が増すように感じられますが、マイクの指向性が変化して、ハウリング（スピーカーからでた音をまたマイクが拾ってしまい”ピー”などの音がすること）しやすくなったり、音質が悪くなったりします。これもよくないマイクの使い方です。
いろいろ書きましたが、要点をまとめておきます。
マイクロホン使用上の注意点
マイクには大別して「ダイナミック」と「コンデンサー」とがあります。この他にも「ベロシティー（リボン）」や「カーボン」「クリスタル」などがありますが、あまり一般的ではないので、ここではダイナミックとコンデンサーについて説明することにします。
ダイナミックマイクは、振動板につけられたコイルが永久磁石の中で動くことで発電することにより、音を電気信号に変えています。
一方のコンデンサーマイクは、導電性の振動板と、対する固定電極の間に外部から与えた電気（成極電圧）を蓄え、振動板と固定電極間の距離の変化による蓄電量の変化を取り出して、音を電気信号に変えています。またこの変化は極めて微少なため、信号を増幅する「プリアンプ」が内蔵されているものが大半です。
この様に、ダイナミックマイクは自分で「発電」するのに対し、コンデンサーマイクは外部から電気を与えなくてはなりません。その電源として電池を内蔵しているものや、外部から電源を供給できる「ファンタム電源」とよばれるシステムに対応したものがあります。
また最初から電気を蓄えてある「エレクトレットコンデンサーマイク」（ラジカセやパソコンのマイク等はこれが多い）と言うものもあります。
ファンタム電源とは、マイクケーブルを通じて直流＋４８Ｖ（電圧はいろいろあるが日本では４８Ｖが一般的）の電圧を与え、それをコンデンサーマイクの電源とするものです。そのためファンタム電源を使用したマイクのケーブルを抜いたりすると「バツン」と言うすごい音がします。マイク使用中はマイクケーブルを抜くのは言語道断なのですが、特にコンデンサーマイクに関しては注意が必要です。場合によっては、スピーカーが破損することもあります。絶対にやめましょう。
それぞれのマイクの特徴は下の表をご覧ください。
| ダイナミックマイク | 電源不要。比較的頑丈なので、大入力やショックにも強い。比較的安価（数千円〜１５万円くらい）。ヴォーカルや打楽器、スピーチなどによく使う。代表的なマイクに「ＳＨＵＲＥ ＳＭ-５８（ゴッパーと言う）」や「ＳＭ-５７（ゴーナナ）」「ＳENNHEISER ＭＤ-４４１」「ＭＤ-４２１（形状から「クジラ」と言われる）」「ＥｌｅｃｔｒｏＶｏｉｃｅ ＲＥ-２０」などがある。 |
| コンデンサーマイク | 電源が必要であるが、ダイナミックマイクに比べ繊細な音が収録できる。比較的高価（２万円くらい〜数十万円）。弦楽器やピアノ、録音（ホールでは３点吊りマイク等）などによく使う。代表的なものに「ＳＯＮＹ Ｃ-３８Ｂ（サンパチと言う）」や「ＡＫＧ Ｃ-４５１（ヨンゴーイチ）」「Ｃ-４１４」「ＳＣＨＯＥＰＳ ＣＭＣ５６Ｕ」「ＮＥＵＭＡＮＮ Ｕ-８７」などがある。 |
マイクを使用する上での注意点は、前述の「ケーブルを抜かない」ことのほかに、「たたいたり吹いたりしない」と言うことがあります。よく、マイクが生きているかどうかを確かめようとして、手でたたいたり吹いたりする光景が見られますが、これはマイク自体の故障の原因になるばかりでなく、ファンタム電源使用時と同様にスピーカーを破損することもあります。マイクチェックをするときは、必ず「声」で行いましょう。我々プロは、回線チェックなどの時にマイクのウインドスクリーンをガリガリこすることがありますが、これはあまりまねをしないでください。我々はマイクの構造をわかった上で行っています。マイクの機種によっては故障の原因になりうることもあります。
また、マイクケーブルを持って、振り回したりしないでください。
マイクを置くときは、落ちやすい場所や舞台に直に置くのはさけましょう。
プロ用のマイクには一般的にＯＮ／ＯＦＦスイッチはありません。これにはいろいろ理由があるのですが、スイッチが必要だと思われる場合以外は、我々はスイッチ付きマイクを用意しません。カラオケ用のマイクのようにスイッチを探してぐるぐる回したり、スイッチと間違えてコネクターを抜いてしまわないようにしましょう。
打ち合わせで、「マイクを〇本用意してください。」などと言われますが、「何に」使うマイクなのかをはっきりお伝えいただけるとありがたいです。前述のように、マイクには用途別にいろいろな種類があります。ヴォーカルに使うのか、楽器に使うのか、またその楽器の種類は何なのか・・が分からないと、マイクの機種が決まらないだけでなく、マイクスタンドの種類も決まりません。
できれば舞台図上に、マイクを向けたい対象物の位置と名称を書き込んでもらうとベターです。
また、マイクには「指向性」というものがあります。拡声用に使うマイクは、ほとんどの場合「単一指向性」と呼ばれる指向性のものです。これは「マイクの指向正面で収音する」マイクなので、指向正面をはずれると著しく音質や音量が変化します。マイクの機種によって指向正面は違うので、舞台係員にマイクを向けられたら、なるべく動かさないようにしましょう。
指向性と並んで音質変化に影響が多大なのが、音源からマイクまでの「距離」です。単一指向性のマイクの場合、一般的に音源からマイクまでの距離が離れれば離れるほど、低音成分が少なく（音が”やせる”という）なります。あまりマイクに近づきすぎるのもよくありませんが、離れすぎるのも困ってしまいます。マイクの種類や音源によって多少違いますが、肉声の場合はマイクから５〜１０ｃｍ離れるのが適当です。
ちなみにマイクに近づくことを「オンマイク」、マイクから離れることを「オフマイク」といいます。
ヴォーカルに多いのですが、マイクの頭を手でくるむようにして使う方がいます。こうすると一見音量が増すように感じられますが、マイクの指向性が変化して、ハウリング（スピーカーからでた音をまたマイクが拾ってしまい”ピー”などの音がすること）しやすくなったり、音質が悪くなったりします。これもよくないマイクの使い方です。
いろいろ書きましたが、要点をまとめておきます。
マイクロホン使用上の注意点
- マイクは、絶対にたたいたり吹いたりしない。
- マイクケーブルは、不用意に抜かない。
- マイクは、丁寧に扱う。（落としたり、投げたりしない）
- マイクの用途をはっきり伝える。
- マイクは正面に向けて使う。
- マイクから離れすぎない。
- マイクの頭は手で包まない。